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フロントローディング開発

フロントローディング(ソフトウェア開発はもの作りと同じ)

 例えば、車の場合、開発初期にパーツ、ユニット、アッセンブリー等を詳細に洗い出し、車全体の部品構成表を作成します。設計仕様に合致する最終仕様が実現できるかを見極めるため、設計仕様が明確なパーツ、ユニットレベルから評価判定し、それぞれ新規開発、流用、修正利用などを明確にし、車両系統毎の開発計画を作成します。

 文鎮型のフラット、大部屋方式に構成されたボディー系、エンジン動力系、サスペンション系、内装系、電装系、マイコン系、通信系、コンピューター系など様々な技術者が開発計画に沿ってコンピューターを駆使し、同時並行的に開発を進めます。いわゆるサイマルティーニアス・アジャイル開発手法です。

 重量、サイズ、寸法、組合せ、強度、耐久性、耐熱性、耐水性、遮蔽性、耐磁性、耐環境生、安全性、保守性など様々なパーツ、ユニット、アッセンブリーレベルでの設計仕様と設計結果の完成度を3Dモデル、バーチャルモデル、バーチャルマニュファクチャリングなど種々の解析シミュレーション技術等のIT利用で見える化し、テスト仕様書に沿って比較評価し記録します。明確になった不具合、設計ミスは早期に修正し熟成度を向上します。部品製作、組立ての実機製作前の設計段階で適切な変更処理をすることで変更コストを最小化します。

 当然ですが、開発後期になればなるほど、様々なモジュールが複雑に絡み合い、問題箇所を見つけだすことが難しくなり、時間もかかります。また、間違った仕様で組み込まれた各モジュールも変更を必要とし、一連の変更後に行うテスト、判定、評価作業も激増します。

 従って、ITを駆使した見える化で成熟度を上げる同時並行の開発手法は競争優位実現に不可欠なのです。多くのシステムコード、DBコード、ユーザーコードを開発組合せ、作り上げるソフトウェア開発ももの作りと同じ、アジャイル開発で成果という視点がここにあります。最適な要件定義が実現できれば、成果は倍増するでしょう。

 フロントローディング効果をどう生かすか、それは、経営戦略や製品・サービスのライフサイクル、戦略的ポジション等に依存するでしょう。いわゆるCAD/CAM/CAE等でフロントローディングを実現したドイツのある自動車メーカーは、予め決定している販売開始サイクルにあわせ、車の品質向上を徹底したと言われています。品質の向上はユーザー満足度を向上し、壊れたら修理するというイベントドリブンの保守体制からリーズナブル価格の数年間保守契約を導入し、保守体制、経営の安定化に貢献し、他社をリードしたと言われています。